一般的な防振ゴムとは
振動を床や机に伝えないようにする防振材は様々な形状や材質の物があります。一般的なホームセンターに売られているゴムは「天然ゴム」や「NBR」ゴムといった耐久性に優れた「硬めのゴム」が多く「防振効果」をきちんと理解して選定しないと、防振効果が発揮されなかったり逆に共振が起こり揺れが大きくなってしまうケースがあるため注意が必要です。
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防振ゴム・ノンブレンの特徴
一般的に防振の減衰率には防振材のバネ定数が関係しており、荷重を加えた時の変位量(何ミリ縮まったか)が大きくかかわってきます。分厚い防振材を大きく変形させることによって、計算上振動の伝達率を下げることができます。ホームセンターなどにある防振ゴムシートは硬いものが多いので当然ゴムが沈みにくくなり、上に乗せる対象物を選びます。もちろん条件が合致すれば防振効果を得ることができます。弊社の防振ゴム「ノンブレン」は様々な硬さがあり、振動源に合わせた防振材を選定できます。
防振ゴムの選定について
とはいえ、そういった硬いゴムが防振材に向いていないという訳ではありません。条件を満たしていないだけできちんと選定すれば防振はできます。防振ゴムの選定をする当たって必要なパラメーターは「対象物の重量」「対象物に取り付ける数」「防振ゴムのバネ定数」「対象物の周波数(Hz)」の4種類です。
ひとつづつ見ていきましょう
1.対象物の重量と対象物に取り付ける数
対象物の重量と取り付けるゴムの数で「防振ゴム1個あたりにかかる荷重」がわかります。
例:対象物が20kgで取り付ける数が4個の時 = 1個あたりにかかる荷重は5kgとなります。
2.防振ゴムのバネ定数
先ほど求めた「防振ゴム1個あたりにかかる荷重」と防振ゴムのバネ定数からゴムの固有振動数を求めることができます。
※固有振動数とは外部から振動を加えた際に最も激しく揺れる振動数のことで「共振周波数」とも呼ばれます。
固有振動数の計算式
f:固有振動数(Hz) ※Hz:は1秒間に物体が振動する回数
K:バネ定数(N/m)
m:質量(Kg)
※実際にはこの計算で出てきた値以外にも材質や硬度などの要因で数値通りとはいきませんが今回は無視します。
ここでバネ定数はを49N/mm(5×9.8 )とした場合の固有振動数fを求めます。(5kgの荷重がかかると1mm変位する)上式に数値を入れれば良いのですが、単位をm(メートル)に合わせるために1000倍します。
この値を式に代入すると1mm変位した状態のゴムの固有振動数は15.8Hzになります。
3.対象物の周波数(Hz)
最後に「防振材の固有振動数」と「対象物の振動数」と比較します。対象物の振動数が防振材の「固有振動数の2倍」よりも高けば防振できると言えます。逆に対象物の振動数が低ければ「共振」が起こり揺れば倍増してしまいます。
このグラフは振動伝達率τを表したものです。
固有振動数15.8Hzの防振ゴムに1~100Hzの振動を与えると次のようになります。
計算上ですが、対象物の振動周波数が60Hzなら伝達率は約10%となり防振効果90%程度と言えます。
防振ゴムは上記のグラフのように固有振動数の位置で最も共振し揺れが激しくなります。その後徐々に防振効果が出てくるようになります。よって、このグラフを見ると共振点の√2倍(約1.41倍)の周波数でオレンジの線と交差します。この後、防振効果得られるようになるため先ほど説明した「固有振動数の2倍」から効果が現れると言えます。
振動伝達率τの計算式は以下の通り
τ:伝達率(%)
N:機械の強制振動数(Hz)
f:固有振動数(Hz) ※Hz:は1秒間に物体が振動する回数
一般的な防振ゴムシートとの違い
一般的な防振ゴムは硬度の選定が難しく、対象物の重さ、対象の周波数によっては逆効果になることもある。特に対象の周波数が<低周波>だった場合、防振効果が出にくく共振してしまうことが多い。それに対して弊社の防振ゴム<ノンブレンシート>は硬度や形状を調整することでお客様の装置に合った商品を選定することができる。また共振倍率と言って共振した際の揺れの大きさが少なく出るのも柔らかい防振ゴムの特徴です。
ただし、弊社の防振ゴムが最強かと言われるとそういう訳ではありません。どんなに柔らかい防振ゴムでも空気バネのような低周波は取ることができませんし、柔らかいゴムを下に轢くと床への振動は抑えられても装置自体が揺れてしまうからです。またウレタンゴムは紫外線や熱に弱く劣化してしまいますので「屋外」での使用にも向きません、何か対策をする必要があります。どんな物のどのような揺れを取りたいのか、どういった場所・環境で使用するかなどを見極めて選定する必要があります。